「とりあえずワーク」からの脱却
なんとなくの勉強

成績不振がきっかけで体験に来る子が毎年一定数いますが、たとえば定期テスト前などの自習の様子を見ているとある程度の共通点があるように思います。
先日もある生徒の様子を見ていると、「ああ、これは成績は上がらないな」と感じました。ノートを開いてワークを解いているのですが、何のためにその作業をやっているのか、本人の中でおそらく目的が定まっていないわけです。つまり、「なんとなくやっている」という状態。
勉強に目的を持たないと…
ここでいう目的とは、「今この時間・この勉強で何をできるようにするのか」という「短期かつ具体的な目標」のことを指します。たとえば「この30分でワークP.42のミス3問を解き直す」であったり「問題を解くことでまだ覚えきれていない用語を洗い出す」など。つまり目的とは時間の使い方の指針と言えます。目的をもてるかどうかで、勉強に費やした時間が「意味のあるもの」にもなれば「無駄のもの」にもなるのだろうと思います。
端的な例の一つとしてよく見られるのが、「答えた合わせ」です。傾向として、成績不振の子ほど答え合わせを後回しにします。場合によっては答え合わせをしないこともあります。ワーク類を何ページも一気にやる。ところどころ解答欄に空欄がある状態。そして大量のページを一気に答え合わせして、間違った問題は赤ペンで答えを写す。そしてワークを閉じる。ワークを終わらせることだけが目的になっているのか、それとも問題を解けば勉強をした気になっているのか、少なくとも「分からないところを分かるようにしよう」という考えはないのかもしれません。
勉強の順序を考えていない子もたくさんいます。基礎的なことを理解していなかったり覚えていない状態でいきなり問題を解き始める。例えるなら公式をおぼえていないのに円の面積を求める問題を解くような感じで、平気でたくさんの空欄を作りながらワークを進めていく。そこから復習や解き直しにつなげるのであればいいのでしょうが、やはりワークを閉じる。
総じて「できないことができないまま終わる」ので、机に向かったわりに学力が伸びないのはこういった理由です。
成功体験ができるまでは粘り強く
理想は勉強の度に目的を明確にし、それに向けて必要な作業(たとえば見直しや解き直しなど)を反復することです。
塾で指導していると、そのようなことを話して聞かせることで一度で自分のものにする子もいれば、なかなか勉強の進め方を変えない子もいます。こればかりは生徒それぞれの意識の差や積んできた経験の違いによるので、なかなか変わらない子には粘り強く働きかけていくことしかないのかなと思います。
七ゼミ生の例を紹介すると、最初は「勉強のやり方が云々」なんてめんどくさそうに聞いていた生徒でも、気づけばそれぞれに明確な目的意識で勉強するようになっています。その中で感じることとしては、多くの場合において子どもたちの変化のきっかけとなるのは「成功体験」だということです。最初はこちらに言われることを嫌々実践していた子たちでも、その結果が点数につながると納得をしたり喜んだりと、前向きな気持ちが出てくるのでしょう。分かりやすく、勉強に自主性が出てきます。


