勉強は友達とやるものではない

それって勉強に集中できていますか?

「友達と一緒じゃない方が勉強に集中できた」

 帰りがけにある生徒がそう声をかけてくれました。もともと仲の良い友達と一緒に座っても自習に集中できる子ではありました。それでもいつも以上に勉強がはかどる手ごたえを感じたのでしょう。

 しっかりと自己管理できる子たち同士であってもこんな感じなので、そうでない子たち同士で一緒に勉強したとしてもどこまで身が入るかは察するしだいです。

 友達と集まって勉強をすることに子どもたちなりの動機があるのでしょう。勉強に後ろ向きな子にとっては友達と集まることが腰を上げる理由付けになるのかもしれませんし、また分からないところを教え合えば勉強が捗ると思うのかもしれません。だけど勉強はけっきょく自分との対話。自分の意志で机に向かって自分の頭で考えることが大切です。

 だから勉強時はできるだけ雑音を遠ざけましょう。友達と一緒であればお互いどんなに集中していても自分のペースを乱されることがあるかもしれません。教え合っているようで冗長な時間を過ごしているだけかもしれません。

 そういえば以前に、ある生徒から相談がありました。なんでも数人の友達が勉強を教えてと言い寄ってくるとのこと。邪険には扱えないから相手をしているけど、自分の時間が取られて勉強が捗らない、どうしたらいいですか、と切実に悩んでいました。これも友達で集まって勉強をすることの弊害の一つかもしれません。

 七ゼミの自習室は毎日、鉛筆の走る音だけがする静かさです。仲の良い友達同士で並んで座っていても休憩時間をのぞけばほとんど私語もありません。それでも友達同士で座ると何かしら意識をしたり誘惑にかられそうになったりソワソワしたり、何かそういったものが子どもたちの中にあるのかもしれないですね。勉強にストイックな生徒ほど同じ教室内に友達がいても敢えてその隣に座らないようにしているように見えます。

「友達と勉強をする」

 そう言われると子どもたちの前向きな気持ちを感じないわけではありませんが、あまりそこに信頼は置きすぎない方がいいのだと思います。むしろ「一人でやりなさい」と言ってあげることの方が長い目で見れば子どものためになるのかもしれません。