一夜漬けという無駄な勉強法

受験学年になる前にぜひ読んでほしい

 6月も後半になり、夏の足音が聞こえてきました。受験学年にとってはそろそろ本格的に受験に向けた準備を始める時期となります。

 ただ毎年この時期になると、「もったいないな」と感じることが多々あります。受験対策として中学3年生に復習単元を指導すると、生徒によっては中学2年生や1年生で学んだことをすっかり忘れてしまっていることがあります。学んでからそんなに時間が経っているわけではないにも関わらず覚えていないわけです。

 塾に入る前から定期テストで高得点を取り続けていた生徒でも、ときおり忘れていることや本質的に理解できていないことが多い場合があります。入塾する前の勉強の様子を訊くと「試験の数日前から集中してやっていた」「一夜漬けでどうにかなっていた」と答える生徒が多いですね。要領がよかったり飲み込みが速かったり、または普段の学校の授業を有効に活用できていたりと素晴らしい能力を持っている子たちなのだと思います。ただせっかく学んだことを忘れていしまうということは、勉強のやり方に間違いがあったのだと考えるべきです。少なくとも高校入試を受けるのであれば「忘れてしまう」のはもったいない。それを取り戻すための時間がひじょうにもったいない。

生徒たちの勉強の様子から見えること

 つい先日、1学期の期末試験が終わりました。七ゼミでは今回、試験の3週間前くらいから試験対策に入りました。応用問題や教科書掲載の問題を授業で確認などこちら主導で対策を進めていくこともありますが、少なくとも直前の1週間はすべて生徒たちに任せています。ほとんどの生徒が長い時間自習室にこもってそれぞれに必要な単元の問題をひたすら解いていきます。塾で予習をして学校で復習をしてもう一回塾で復習をして、さらに試験前に問題をたくさん解いていく。これだけ段階を踏んで勉強をすれば、頑張って得た知識やスキルは1年後や2年後だってそうそう忘れません。

 七ゼミも4年目に入り、今年は中学1年生や2年生の頃から在籍していた中学3年生が何人かいます。模試の点数を同じ志望校を目指す、または目指していた生徒で比較すると、明らかに卒業生よりも今年の中学3年生の方が高いことに気づきます。能力的に似通っていても、おそらく日常的な勉強の習慣だったり定期テストに向けた勉強のやり方が分かりやすい差となって表れているのだと思います。テストの直前だけ集中して勉強をしても、残念ながら長期記憶にはなりづらいのでしょう。

 受験に置いて時間は貴重です。中学1年生や2年生の単元に費やす時間が短くて済むのであればその分を入試レベルの演習に費やせます。中1からの勉強への取り組み方次第で受験学年になったときの時間のロスは大きくもなれば小さくもなります。受験は「中3の夏から」といったステレオタイプの文字がこの時期は踊りますが、実際はもっともっと前段階の「日々の習慣」から受験は始まっています。つまり1年生や2年生の頃の勉強習慣が受験にとっても大切だということです。