受験生へ。社会の復習はまず「教科書音読」から。
社会という科目の真実
社会はよく「暗記科目」と言われます。そのためか、受験勉強においても相変わらず一問一答形式で懸命に用語を覚えようとしている受験生を見かけます。確かにまずは社会の用語を覚えないことには解けない問題もあるため、それがまったく無駄なことであると否定はしません。しかし、ただぶつ切りの知識として用語を丸暗記をしたとしても受験問題では通用しないことを遅かれ早かれ気づくはずです。
一問一答形式で覚える弊害はいくつかあります。まず、時系列や因果をつかめないことです。歴史であれ地理であれ、求められることは「なぜ」という問いです。人の歴史は教科書に載っている用語が関連なく散発的に起こるような味気ないものではありません。さまざまな要素がダイナミックに絡まり合って起こるうねりのようなものです。現在、数年前と比べて生活の有り様がずいぶんと様変わりしましたが、それは未知だったウィルスが流行ったからに他なりません。現代がそうであるなら、過去においても何か大きな社会変化が起こるときは必ず原因があるはずです。また、日本を含め世界の人々の生活や産業にも必ず「なぜ」があります。なぜ日本のフルーツはあれほど高品質なのでしょう。もし日本の農家一人当たりの農地が実際よりもかなり大きければみんなの大好きな「あまおう」も「デコポン」もなかったかもしれません。
もう一つの弊害が計量的視点を失うことです。実は社会という科目は数字とつながりが強い科目です。産業や社会の動態を知るためにも、地域や時代ごとの違いを比較するためにも数字はかかせません。なぜなら、数字がもっとも客観的で雄弁な資料となるからです。そして資料を正しく読み取るためには小学校算数で学ぶ割合や中学校数学で学ぶ資料の活用を理解し、実際に用いることができるようにならなければなりません。最近の入試問題は特にこの資料を読み取るような問題が増えてきています。暗記だけでなく、科目横断的な広い視野で社会を勉強してみてください。
音読のすすめ
社会の受験勉強は、ぜひ教科書の音読から始めてください。塾や市販のテキストはいろいろありますが、勉強の基本は教科書です。受験に必要なことがすべて体系的に説明されています。そのために市販のテキストなどを使って用語の解説だけを見るよりも、教科書を読んだ方が前後の文脈からの理解が進みます。また図や資料も豊富に載っています。常に「なぜ」と問いかけながら本文だけでなく四隅に載っている資料までくまなく読んでいきましょう。
どうせ教科書を読むなら黙読よりも音読をしてください。科学的に黙読より音読の方が文章内容を理解しやすいようです。経験的にそれを感じている人も多いのではないでしょうか。また黙読に比べて集中力も高まるそうです。
ぜひ、回数にもこだわってください。「7回読めば」といった勉強本が流行ったりもしましたが、7回読むかどうかさておき、読み通す回数が多ければそれだけ理解につながることは間違いありません。目安は教科書内容のどこを問われてもだれかにその箇所を過不足なく説明できるようになること。そこまで読み込めれば、教科書内容の理解はかなり高いレベルまで到達しているでしょう。
テキストに手を出すのはここから。新しい知識を得るためというよりも、むしろ教科書を通じて得た知識の確認や入試問題に落とし込んだ場合の応用力を身につけるという発想で多くの問題を解いてみてください。単発な知識だけでのぞんでいた場合と比べて、問題に合わせて「考える」作業がとてもスムーズに進むはずです。
もちろん教科書が万能というわけではありません。教科書を読んでも情報が浅すぎて「なぜ」という問いがすっきりと解決できないこともあります。そういった場合は必ず資料集や問題集、ネット等で調べてみましょう。教科書という土台から派生的に知識を広げてければそれがもっとも効率よく理解を深めていく方法だと思います。
音読の効果が気になる方はこちらも読んでみてください。七ゼミの卒業生たちの音読効果に対する生の声です。