女子は先伸び?男子は後伸び?

受験にまつわる都市伝説

 先日ネットを見ていると、「女子は先伸び、男子は後伸び」という言葉に出会いました。何かはるか以前に聞いたことがあるようなないような。受験業界では同じような根拠がよく分からない一般論が格言のように残っているのでこの言葉もそんな都市伝説的な類の一つのように思います。

 そう、たぶん都市伝説です。私はこれまでけっこうな数の受験生を見てきましたが、女子だから早い時期に伸びが来て、男子だから遅い時期に伸びがきたという実感がありません。成長曲線が急激に上向きになるタイミングは性差よりもむしろ個人によるところが大きくて、勉強の資質だったりそれまでの努力量だったり、そういったものの方が大きく影響をしているように感じます。

 こういった言葉が受験の格言のように残っている理由は性差に対するイメージにあると思います。世の中的には女子の方が日頃よりコツコツと勉強をしていて、男子は体力にものを言わせて集中的な勉強で成果を出すと見られているのかもしれません。ただ教室で多くの受験生を見ていると、これが必ずしも正しいとは思えないわけです。

 なぜなら男女関係なく、テストで高得点をとるほとんどの生徒はコツコツ型と集中型を併せ持っているからです。その比率が男女間で大きく変わることもありません。おそらく彼らは普段から予習復習を重ねていくことが効率よく勉強を進められるすべだと知っています。1点にこだわるために不安をなくすまで勉強に集中する大切さを知っています。

 だから男の子だからといって「男子は後伸びって言うし、部活引退してから頑張ればいいんじゃない?」と過度に自分に(子どもに)期待しすぎるのははっきりと誤りです。勉強に打ち込むタイミングが夏になってしまったのならそこから受験まで勉強を毎日継続すること、時間にとらわれず理解できるまで机にしがみつくことができれば学力は上がっていくでしょうが、そうでないなら爆発的な成長は得られないでしょう。なぜか男子だけ夏明けに学力がグングン伸びていくなんていうご都合主義はありません。一方で女子だから夏以降に伸びにくいなんてことはありません。けっきょくは性差ではなく個人差で学力は決まります。シンプルに勉強をするかしないかです。

 さて中総体が近づいてきました。運動部の中学生たちは今がもっともハードな時期だと思います。私も運動部に所属していました。勉強をやる暇なんてない、最後の大会前だから部活だけに集中したい、そんな気持ちも分かります。しかし時間は平等です。多くの中学3年生がここから約1カ月ほどで引退の時期を迎えますが、この1ヵ月に勉強をするかしないか。夏以降に大きな差となるのは案外この1ヵ月の時間の使い方の差かもしれませんね。