時間の無駄であることに気付いてほしい

「提出しないより答えを写してでも提出した方がいい」という謎理論

 七ゼミ生の通う中学校では早いところで昨日から定期テストがスタートしました。定期テストが初めてになる中学1年生のゼミ生たちも自習の時間を増やすなどテスト勉強に励んできました。ゼミ生のみんなが努力の量に応じた成果を得られるよう応援しています。

 そんなわけで七ゼミ近隣の中学校は今週来週と定期テスト期間になりますが、最近あらためて日々の取り組みの積み重ねが子どもたちの学力と関連しているんだろうなと感じることがありました。

 最近は夏休みが近づいてきたためお問合せが増えてきています。それに応じて様々な勉強に対する悩みを寄せられることもあります。特に多い保護者の方々のお悩みが、「子どもが勉強の仕方が分かっていない」というもの。

 一言で「勉強の仕方が分からない」と言ってもその内実はそれぞれで、親から見て「効率の悪い勉強法をしているように感じる」といったものや、「高校受験に向けてどう勉強していくべきか」といったものなど様々です。そんな中でときおり「答えを写して終わる」という声を聞きます。ようはテスト勉強としてワークの答えを写して終わるという話です。

 はっきり言えばまったく意味のない勉強です。たぶんそんなことは写している本人も分かっているだろうに、写す。なぜだろうかと疑問に思います。一つは成績のためでしょうか。学校ワークを提出させている中学校は多いので、せめて形だけでもちゃんとやっている体をとっているのでしょう。他には何でしょうか。答えを写しているだけでも勉強をやっている気にでもなるのでしょうか。

 いずれにせよ勉強は表面的な部分だけ取り繕っても残念ながら成果は上がりません。そもそも勉強の仕方がどうのというような話でもなく、単純に勉強をやっていないというレベルの話です。だからワークの答えを写しているのであればそれをやめさせて問題を解かせてください。それだけでテストに関する悩みの幾分かは解決されのだと思います。

答えを写して残るもの

 ずばり将来へのツケです。やるべきことを誤魔化しながら中学3年生になると入試に向けてどこから勉強すればいいのか分からないくらいに課題が山積になっていることでしょう。だからいくら時間があっても足りない。

「中学3年生になればがんばる」なんて言葉には何の力もなくて、課題が多い子ほどその現実に目を向けられなくて、追い込まれても安易な方、安易な方へと行こうとします。志望校を下げる(チャレンジをあきらめる)、何か受験の必殺技のようなものを知りたがる(そんな都合のいいものはない)、頑張るのを先延ばしにするなどなど。

 毎年、夏や冬のタイミングで急激に学力を伸ばす受験生が一定数います。しかしそれは誰にでもやってくる成長曲線ではなく、実は限られた受験生のみに許された特権です。中1・中2の時期からコツコツ基礎を積み上げてきた生徒、能力はずば抜けて高いけれど勉強に力をいれていなかった生徒、殻を突き破るのはだいたいこういう生徒たちです。

 1年生と2年生で学んだ内容への理解がすっぽりと抜け落ちている場合、受験期で当然それを取り戻さなければなりません。そのうえで、入試レベルの問題を解ける応用力まで身につければなりません。コツコツ勉強してきた生徒が3年間でやるこれらの内容を、これまでワークの答えを写してきた生徒が1年間でやらなければいけません。さて、勉強の習慣すら身についていない生徒が本当にこれだけのことをやれるのか。他の受験生も勉強量を増やす中で、本当に彼らの3倍以上の勉強時間を継続できるのか。はたまた基礎のできていない状態で他の受験生よりも質の高い勉強ができるのか。

 中学3年間で学ぶ内容は広範囲に及びます。一方で3年間なんてあっという間。ツケはたまれどそれを解消するには時間が足りない。

 子どもがワークを写すだけで心配と思うのであれば、大丈夫です、お母さんの心配は間違っていません。すぐにでもそんな意味のないことはやめさせてください。試験勉強の仕方が分からないと子どもが言うのであれば、一緒に教科書を読んであげてください。一緒にワークを解いてあげてください。塾を考えるのはそこからでいいと思います。