七ゼミ生が実感、教科書に戻る大切さ

入試の記述対策は学校教科書にあり

 七ゼミ卒業生の子たちの協力を得て、今年度より「合格体験記」を書いてもらっています。あらためて彼らが書いた体験記を読んでみると、入試までの一年は彼らにとって大きな成長を遂げた期間だったのだなと実感します。入試を経て得られるものは何も合格通知や学力だけではないのだなと感じます。目標に向けて継続する大切さに気付いた生徒もいれば大変な時期を支えてくれた家族へ感謝を述べる生徒もいました。

 そんな生徒たちの成長を垣間見えたことに喜びを感じながら、もう一つ、嬉しいことがありました。それは「後輩へのおすすめの勉強法は?」という項目で多くの生徒が「教科書を熟読すること」と書いていたことです。

 福岡県の公立入試ではどの科目も記述問題が多く出題されます。受験生にとっては得点の分かれ目になる配点の高い問題です。また対策が難しい(と受験生は思っている)問題でもあります。

 七ゼミ生の彼らも同じで、模試を解いても記述問題でなかなか正答数を上げられない時期がありました。記述に対応できない原因は主に三つあります。

 まず、問題をしっかりと読まないこと。問題が長いだけでめんどくさがって、もしくは難しいのではないかとあきらめて、はたまた分かったつもりでなめてかかって一行一行の文言の意味を深く考えずに読み飛ばすわけです。

 これは意識次第なので矯正することは簡単です(七ゼミ感覚では。他の塾ではどうだか分かりません)。

 次に、記述の書き方が分かっていないこと。具体性と抽象性のバランス、問われていることに対して語尾をどうするか、主語や目的語などなど。中学生はたとえ定期テストで立派な点数を取るような子でもかなりいい加減な文を書きます。ここの手直しはかなり根気が必要です。しかし訓練次第では向上するポイントですので塾の腕の見せ所かなと思っています。

 そして最後に、出題された内容に対しての背景知識の不足。七ゼミ卒業生が口をそろえて言っているのはまさにこのポイントです。もちろん授業の中で記述に頻出される内容は紹介・解説を行い、また模試の解き直しを通して問題パターンをおさらいしていくことを継続して行っていましたが、それと平行して生徒たちには「教科書の熟読」を勧めていました。理由は単純で、入試は「教科書内容」から出題されるからです。

 特に理科社会において教科書に「回帰」するメリットは計り知れません。理科であれば実験の方法や過程、社会であればグラフや資料の読み取りが多く出題されます。そんな問題をただの暗記で済ませようと思うと応用が利かないばかりでなく理解をすっ飛ばしているために覚えることにもかなり苦労が伴います。はっきりいって効率が悪い。そして後に何も(考える力や応用力)残らないため無駄が多いわけです。一方で教科書はしっかりと子どもたちの思考を誘導するように書かれています。必要なことも過不足なく(ここから出題されるので当たり前といえば当たり前)記載されています。実は入試に向けたテキストとして教科書ほど必要な知識が網羅されているものはありません。

 七ゼミ生が教科書に回帰したのは入試の2ヵ月前からでしょうか。その頃には一通り塾で記述のパターンも学び終え、また模試などを通して多くの問題に触れていました。記述問題への対応力は生徒それぞれ上がってきていましたが、科目によってどうしても苦手な部分を抱える生徒もいました。そこを補充するために「じゃあ教科書に戻ろうか」となったわけです。

 塾で扱うテキストや書店で売られているテキストは網羅的な内容をコンパクトにまとめているため必要最小限の労力で効率よく学べるようにできています。一方で説明の行間が足りない場合も多くあります。記述問題などは背景知識が問われますので塾や市販のテキストでは言葉足らずで対策テキストとしては物足りないところがどうしても出てきます。一方で学校教科書は決してコンパクトに知識が整理されているわけではありません。しかし文脈をていねいに作りこんであるので知識を文脈で理解しやすいメリットがあります。どちらも良し悪しがあり、言い方を換えれば目的に応じて使い分ける必要があります。

 今年の中学3年生もこれから入試に向けて本格的に受験勉強が始まります。受験勉強をしているとあれもこれもといろんなテキストに手を出したくもなりますが、本当に有用なものは身近にあるものです。困ったら「教科書回帰」を考えてみてください。きっと皆さんの受験勉強の助けになると思います。