英語長文の突破口は“継続”

読まなきゃ始まんない

 他の科目に先駆けて、今年も英語から中学校単元をすべて教え終わりました。これで英語に関しては心置きなく入試対策に集中できる環境が整いました。(11月の期末考査はまた別でがんばるけれど)

 入試の英語といえば昨今は長文の比率が以前よりも高まっています。文法単体の設問は減って、そういったものも長文に組み込まれるかたちで出題される傾向があります。だから入試の英語で高得点を狙うのであれば長文読解力の向上は必須でしょう。

 ところがこの長文、すっきりとした必殺技がない。単語の意味を知っているだけでもダメ。文構造が理解できていてもちょっと足りない。スラスラと読みこなすためには英語という言語に「慣れる」しかないと思います。だから読解力向上のためには一にも二にも量!読み方や解答のテクニックなんていうのもある程度英文を読めるようになってからの方がいいと思います。だから、とりあえず読んでみる。

「1週間英文を読まなければ英語力が落ちますよ」

 と教えてくれたのは大学時代の指導教授です。当時は大学4年生でした。院試を控えていたのですが、院試の英語テストに自信がありませんでした。困って相談をしに行くと先生がそうおっしゃるわけです。「とにかく毎日英語を読みなさい」

 同じようなことを高校3年生時代にも言われました。当時、友人に誘われて個人でやられている英語専門塾に通っていました。生徒は私と友人と先生の娘さん3人。先生宅のリビングで、3人でひたすら「あーでもない、こーでもない」と言いながら大学受験用の長文と格闘していたことを思い出します。そして先生がおっしゃるわけです。「英語は読めば読んだだけ力になりますよ」と。

 今思い起こせば英語読解に近道はないのでしょう。そして定期的に英文に触れなければ英語力は間違いなく落ちていきます。家に眠っている大学院時代の英語文献を読んでみて実感しました。あれだけ一生懸命読み漁っていたはずなのに、今の私はそれらをスラスラ読めませんでした。

 ひるがえって高校入試用の英語長文。中学生からすると難しいんです。教科書学習のようにていねいなお膳立てがあるわけではなく、初見で自分の力だけで読んでいく。制限時間まである。読むことに慣れていかないと、とてもとても手に負えるものではありません。だからまずは量をこなすこと。そして読むことに慣れることが大切なのだと思います。

中2で新しい試みを始めました

 ちょっと話題がそれますが、2週間ほど前から中学2年生を対象に教科書本文を使って一緒に英文を掘っていく試みを始めました。現在通ってくれている2年生の子たちはそろって英語が苦手。どのあたりに苦手の根っこがあるのだろうと探っていった結果、単純に「英語に不慣れ」なのかなと感じました。文法の知識とかそういったレベルではなく、そもそも英語を言語として捉えられてない印象です。まるで難解で解読不能な古代魔術の呪文をぼーっと眺めている感じです。

 おそらく塾らしく文法をメインに教えるだけでは、来年の今頃の彼らは長文を読めていないに違いありません。できるだけたくさんの英語を生きた言語として一緒に読んでいく。そしてたくさん英語を書く。急がば回れ。地道な作業がきっと遠くない将来に花開くと確信しています。

中3生の宿題ノートから見えること

 中3生は1ヵ月ほど前から長文和訳をルーティンの宿題として課しています。現時点で十分に読めている子もいれば課題が多い子もいます。

 彼らの和訳を添削していると、一つ共通点があることに気づきます。それは「つじつまを合わせる努力をしている」ということです。文法や単語の意味選択に多少の誤りがある場合でも、日本語として意味が通るようにどうにか言葉をつなげている様子が見えます。

 英語の読解では前後の文脈から類推することが大切だとよく言われますが、そういったことも実際に自分で分からない単語を調べてみたり和文におこしてみたりという苦労を伴った作業をしないことには訓練されないのかもしれません。英語が苦手な生徒もどうにか文脈に合うよう訳そうという姿勢が見えたのは大きな収穫だと考えています。

 去年の3年生もこの時期からぐっと英語長文の正答率が上がっていきました。今年の中3生もここからの大きな成長が楽しみです。