英語の得点分布が語ること
中3の英語模試結果から見えてくるもの
夏の新入生を含めて中3生の模試結果を眺めてみると、英語の得点分布が他の科目と比べて目を引きます。他の科目は平均点あたりが団子状態。そして高得点者と低得点者がなだらかに分布します。一方で英語は平均点あたりに最頻値がこない。はっきりと高得点の生徒と低得点の生徒に分かれる形です。
これは何も今回の模試に限ったことではありません。模試のたびに同じような英語得点の分布を目にします。つまり英語は他の科目に比べて「得意な生徒」と「苦手な生徒」とで点数の差が開きやすいということを示しています。
以前、私は神奈川県の塾で働いていました。私が塾講師を始めた20年ほど前は英語の得点分布も他の科目と同じように平均点あたりに最頻値があったように記憶しています。それが入試改定で英語の出題形式が変わったあたりから神奈川県では英語にかぎって得意な生徒と苦手な生徒とで点数の差が大きく開くようになりました。おそらく入試の新しい出題形式がその原因なのだろうと思います。
最近では神奈川県だけでなく全国的に英語の入試問題はリスニングや長文、英作文の比率が高まっています。福岡も例にもれずそのような形式です。英語の苦手な生徒にとってはこれが痛い。リスニングも長文も英作文も、点数につなげることが難しいわけです。
逆に英語が得意な生徒からするとリスニングだろうが長文だろうが英作文だろうが高校入試レベルの問題なんて簡単でしょうがない。なぜならそこで問われていることは日本語に直してみれば「小学生低学年レベル」の内容でしかないからです。
例えば高校入試で出てくるような長文を思い出してみてください。和訳をしてみれば奥行きもなにもない簡単な感想文のような内容です。だから訳さえできれば小学生の国語を解くようなものです。
英作文でも同じです。
「あなたが好きな季節とその理由を述べよ」
簡単ですね。
ただ英語が苦手な生徒からすると、まず読めない。その原因はいろいろあるのだろうと思います。単語が分からない。文の構造が分からない。だから何が書いてあるかが分からない。一昔前の入試問題なら文法の穴埋め選択問題や簡単な単語を書く問題など英語が苦手な子でも対応しやすい問題がありましたが、残念ながら今ではあまり見かけなくなりました。英語が苦手な子にとっては解きにくい問題形式です。
語学に近道を求めるな
英語ができるようになるためには、単語や文法、文構造をおぼえたり理解する必要があります。しかしそれだけでたとえばスラスラと長文が読めるようにはなりません。またリスニングが急に聞き取れるようになるわけでもありません。
個人的にはある程度の「慣れ」が必要だと思っています。言語は使ってみてナンボ。自分自身で発音し、読んでみる。そして聴いてみる。つまり言語として使ってみる。その経験を踏まないと、実践的に英語を使いこなせるようにはならないと思っています。
だから七ゼミでは英語の授業として文法などをみっちりと鍛えながら、一方で地道に長文や英作に取り組む時間を大切にしています。
模試を通して各個人の課題が明確に浮かび上がってきました。今年の中学3年生のスタートはここから。残り半年でどこまで英語力が伸びるのか楽しみです。