来年度からの中学校英語学習内容が重い…

いよいよ来年度から中学校教科書改訂

 小学校の教科書改訂に続き、中学校でも来年度から教科書改訂が行われます。全体的に教科書のページ数増。その中でも個人的には英語内容の改定がなかなかハードだと感じています。

 簡単に紹介すれば、これまで高校で学習していた文法が中学校に前倒しになるということです。

 具体的には現在完了進行形原形不定詞、そして仮定法です。高校生でも現在完了形と現在完了進行形の違いがあやふやなことが多かったり、また仮定法にいたっては構文として暗記していることが多かったりする現状で、あえてそれらを中学校に前倒して中学生の子たちが消化できるのだろうかと心配になります。

 「改善点」としては小学校で学習した内容を中1の前半で学びなおすことでしょうか。中1の前半時点ですでに英語に苦手意識を持つ生徒はけっこうな割合でいます。他の科目と違って小学校の学習の延長上にはない科目ですので、うまく英語に慣れないまま「分からない科目」になっていたのでしょう。

 それが小学校で慣れておいて中学校で復習となれば英語への苦手意識も少なくなるのかもしれません。

 ただ、「小学校と中学校の英語学習が十分に連動すれば」と但し書きが必要かもしれません(たぶんしないように思います)。

 ほとんどの中学校は制度的な中高一貫というわけではないので、けっきょくは小学校も中学校も小中間の連携などあまり意識しないのだろうと思います。(小学校の先生と中学校の先生が一緒に打ち合わせや申し送りなどしているのだろうか…)

 または制度の過度期ですので小学校の先生も中学校の先生も手探りで英語の指導をしていくのだと思います。そのために、「小中の円滑な接続」という言葉にあまり楽観的にならない方がいいと思います。

アルファベットが書けない小学生

 さて小学校で英語が始まってその実態はどうなんだろうと関心のある方も多いと思います。事例が少ないのであくまで参考程度にしかなりませんが、七ゼミの小学生の例をご紹介すれば、「入塾当初はみんなアルファベットの大文字と小文字を完璧には書けない状態だった」といった具合です。特に小学5年生。

 小学校ではあまりライティングや文法などはやらないのでしょうが、それにしても「アルファベットくらいは…」というのが本音です。そんな状態で中学校に上がって「さぁ小学校で習ったことの復習だ!」と言われても、けっきょくは小学校とのギャップで英語に苦手意識を持つ子が出てくるだけなんじゃないかと思います。小学校でも、最低限の「書き」はさせた方がいいと思います。

学習塾は小中一貫です

 われわれ塾業界、私教育業界も学校の教科書改訂に合わせてまだ模索を続ける段階ですが、はっきりと言えるのは、われわれは「小中一貫」ということです。

 学校での英語指導を見ていると、小中それぞれでぶつ切りの指導にならない点が学習塾の強みの一つではないかと考えています。七ゼミでは、小学生も中学生も私が英語を教えています。だから小学生の英語ははっきりと中学校英語のための準備として位置付けることができています。

 アルファベットが書けない5年生の生徒たちがどうなったか。6年生になった彼らは今やスラスラと中1で習う程度の英文を書いています。彼らからすると中1に上がった前半期は文字通り「復習期間」になるのでしょう。

小学校-中1の接続期間がカギを握る

 今回の中学校の英語改定に関して、結論としては小学校と中1の接続期間をうまく生かせば子どもたちの英語力はこれまでよりも前倒しで身についていく一方で、そうでなければ教科書内容がハードになる分、これまで以上に中学校で英語が苦手になるのだろうと予想されます。

 そういった意味で、小学生のうちにどういった英語教育を行うかは本当に大切になってくると思います。

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