読み飛ばしをする子どもたち
分からない原因は読み飛ばしにあるかもしれない
対話型で授業をしていると、ときどき生徒たちが教科書やテキストに載っている漢字を読めないことがあることに気づきます。こちらからの問いかけに対してテキストに載っているレベルで答えればいいところを言いよどむ。なぜだろうと探っていくとどうも答えたい単語の漢字の読み方が分からなかったらしい、とこんな具合です。
漢字が読めないのであれば当然読み方を知ればいいのですが、この子どもたちの漢字が読めないという一面にはもっと大きな問題が隠れているように思います。それは知らない単語を「読み飛ばす」ということです。
せめて知らない単語の前後の文脈から文の内容を推測したり、その単語に使われている漢字から意味を類推すればまだ文の意味を正確に近いかたちで読み取れるのかもしれませんが、ときどきそういったことすらせずに読み飛ばしている様子をうかがえることがあります。知らない単語を無視して前後の部分だけなんとなく読んでいく。これでは文の内容を正しく読み解くことは無理でしょう。
子どもたちが読み飛ばしを行うのは、国語の授業時だけではありません。他の科目でもそうです。教科書やテキストが当たり前のように使う用語や表現の中にはあんがい子どもたちにとって難しい単語が散りばめられています。それらがその単元の重要な単語であればこちらも定義なり意味なりを丁寧に説明をするところから入りますが、そうでない単語であれば生徒にとって意味を取ることがむずかしい単語かどうかを気づきづらいところがあります。
こちらが一方向的に説明をする授業だと、なかなか生徒のこういった課題は見えてきません。授業が対話型であることはとても有益だと考えます。
また予習も大事です。事前に授業内容を予習してきてもらえば、さてどこが分からなかったかというところから授業をスタートできるからです。小学生には次回授業で読む国語の文から意味調べをしてきてもらっていますが、これも読み飛ばしを防ぐためには大切だと考えています。
教科書を読めない子どもたちが多くいるということが話題になっていますが、その要因の一つには語彙力の不足があるのかもしれません。そしてこればかりは生きた文に丁寧に触れ続けていくことでしか増えないのだろうと思います。まずは足元から。言葉を一つ一つ大切にする習慣を子どもたちがもってくれるような取り組みをこれからも工夫していきます。