ダメな勉強法からの脱却

解き直しをする生徒とそうでない生徒の差

 塾に通う生徒たちを見ていると、あることに気づきます。それは解き直しをする子とそうでない子がいるということ。そしてその勉強への姿勢で学力や各テスト結果に差があるように思えます。

 どちらの方がいい結果を残しているか。それは前者、つまり「解き直しをする生徒」です。

 たとえば問題演習の後に解説授業を聞けばその場ではみんな理解したり用語であれば思い出したりできます。しかしもう一度同じような問題を自力で解くとなれば案外解けないものです。なぜか。それは人の話を聞いただけでは考え方や知識は自分のものにならないからです。自分の手でやってみて初めて人は理解もするしおぼえもします。だから解き直しはとても大切です。

理解しようという執着

 では解き直しをする子とそうでない子のその行動の違いはどこからくるのでしょうか。「真面目な生徒かそうでないか」というお言葉も聞こえてきそうですが、そうではありません。実際にコツコツと勉強に取り組むタイプの生徒でも、解説や答え合わせのときに〇×を付けているだけの生徒はけっこうな割合でいます。もしくは間違えた問題の回答欄に赤で正答を書くだけ。

 私の経験則でいえば、解き直しをする生徒ははっきりとした特長があります。それは「理解しようと執着する」生徒です。分からない問題があると悔しいとかもっとその科目をできるようになりたいとか生徒によって同期は様々だと思いますが、ともあれ共通していることは「執着」です。

塾の役割は分かりやすい説明をすることだけではない

「解き直しが大切だ」おそらく小学校でも中学校でも子どもたちはしょっちゅう言われているでしょう。もしかしたらご家庭でも言われているかもしれないですね。にもかかわらず、多くの生徒は〇×をつけるだけで演習を終わらせてしまう。それで十分だと思っている子もいれば単純に解き直しがめんどくさいと思っている子もいるのでしょう。子どもはまだ成長の過程にいます。もっと勉強の本質を考えるとか自分を律するとか、そういったことが大人ほど器用にはできません。

 だからこそ周りからの誘導が必要なのだと思います。それを学校でやりきれないのなら塾がやる。ここに塾の役割の一つがあります。

 授業中の演習のやり方も定期テストに向けた勉強のやらせ方もこちらの工夫や生徒への動機づけで大きく改善します。今七ゼミに通っている生徒は夏前後あたりに入塾した子ばかり(5月開校なので)ですが、最近は入塾時と比べて明らかに勉強のやり方が変わってきました。つまり「解き直しをする」ようになってきたわけです。

1ページに1時間かけたっていいんだぜ

 

 ある生徒がテスト前ということで自習に来ていました。社会の問題を一所懸命といているわけです。見ていると、同じページの問題をやっては覚え、やっては覚えと繰り返しています。

 またある生徒が授業時間が終わっても数学の問題の解き直しをしていました。解説を聞くだけでは自分のものになっていないと問題への「執着」が出たのかもしれません。

 先の社会をやっていた生徒は1ページに1時間をかけていました。それでもまだ不満顔。また別の日に復習しないと不安だと言っていました。うれしい一言です。

 勉強の効率は何も短時間で多くの問題を解くことだけではありません。ときには「急がば回れ」、遠回りをした道が案外ゴールへの近道だったりするのだと思います。

 だから1ページに1時間かけてもいい、そう思います。