カラスに頭を蹴られて“考える”

カラスが頭をコツン

 

〈前置き〉けっこうどうでもいいことを書いていきます(。-人-。)

 先日、家から自転車で近所に向かう途中、いきなり後方からカラスが頭上をかすめて飛んできました。その後、カラスは電信柱にとまってこちらが通り過ぎるのを観察している。そして通り過ぎると同じように後方からまた頭をかすめていく。計4回、同じ行動を繰り返してきました。うち1回は頭上をとぶときに頭を足で蹴られるおまけつき。何かカラスに恨まれるようなことをしたのかな…

 それ以来、自転車だろうが徒歩だろうが、外に出るたびに後ろからねらってくる。さすがにこれはどうにか対処した方がいいのだろうかと考えました。もし子どもと一緒に歩いてるときに子どもまでカラスに蹴られやしないか心配です。

カラスの生態を調べてみた

 とりあえず、困ったときのGoogle先生。「カラス 襲われる」と検索するとカラスの生態を教えてくれるサイトがたくさん出てきました。さすがカラス、日常に溶け込んでいる鳥だけに、情報量は豊富です。

 調べた結果、カラスはちょうど今の時期、3月~6月くらいまでが産卵・繁殖の時期で、そのために神経質になりやすいのだとか。卵やひな鳥を敵から守らなくてはならないですもんね。鳥も人間も子育ては神経質になるものです。

 だから「コイツは巣を狙っているんじゃないか?」と認識したものに対して警戒のために威嚇や場合によっては攻撃をしかけて卵やひなを守る行動に出るそうです。なるほど。

 とカラスの生態に関しては納得しましたが、そもそも「じゃあなぜ自分が狙われるんだ?」という疑問が。個人的にはまったくカラスの卵やひなには興味がありません。捕まえてみようとか触ってみようとか、そんな趣味も意図もありません。カラスを脅かしたこともなければ威嚇したこともありません。う~ん…

考えるカラスになろう

 そんなわけで最近はしょっちゅう「カラス」と検索しているわけですが、そんな中で、とあるサイトに出会いました。「考えるカラス ~科学の考え方~」というEテレの番組の紹介サイトです。子供向けの理科の番組です。気になってちょっと観てみましたが、これは…おもしろい(((o(*゚∀゚*)o)))

考えるカラス ~科学の考え方~

 番組動画がwebからも観れるのでぜひ観てみてください。「観察→仮説→実験」という流れを子どもが(大人も)興味を持てるような構成になっています。カラスは人間でいうと5歳くらいの知能を持っているという研究データがあるそうですが、なるほどカラスも「観察→仮説→(実験)」の結果、「コイツは敵だ!」と認識していたのでしょうか。ただ、観察の時点で間違えていますが…

 ならばこちらも観察からしてみようということで、襲ってくるカラスの様子を見守ることから始めてみました。

観察&仮説 ①カラスは高いところに巣を作る

 カラスは人の目が届かないような高いところに巣を作ります。木の枝や電信柱など。だから巣の下を人間が通っても、「よしよし人間の目にはこの巣は見えないだろう」と安心できるわけですね。

 ところで最近は高層住宅が増えています。これがカラスにとっては脅威に感じられることがあるようで。というのも、せっかく高所に巣を作ったのに巣と同じ目線もしくは見下ろされるような位置に人間がいる、という事態が生まれたからです。

 私の家は4階にあります。ベランダに出て周りの様子を見てみると、側の街路樹にカラスがとまっているじゃありませんか。そしてこちらをじっと警戒している様子がうかがえる。なるほど、それで私が巣を狙っていると勘違いなさったわけか、と観察の結果で仮説を立ててみる。

 カラスには悪いと思いながら、ベランダからもう少しカラスを観察してみるといろいろなことが見えてきました。

①他の通行人は襲わない

 観察中にカラスがとまる木の近くを何人もの人が通り過ぎましたが、カラスは一向に見向きもしません。巣への脅威と感じない対象には襲いかからないのでしょうか。

②上の階のおやじさんの方に飛んだ

 私の家の上の階に住むおやじさんはときどきベランダでたばこを吸っています。観察中にちょうど上の階の窓が開く音がしました。「カチッ」とライターをつける音がしたのでたぶんおやじさんがいつものようにたばこを吸っていると思われます。すると木にとまっていたカラスがスーっとこちらに飛んでくるではありませんか。そしてふわっと浮き上がってたぶん5階のさらに上あたりにとまった気配がします。これはおやじさんも「敵」認定?

③もう1羽、カラスを確認

 その後、1羽目と違うカラスがやはり近くの街路樹にとまりました。ちょっと小型です。カラスはつがいで子育てをするそうなので1羽目のパートナーでしょうか。やはりこちらをじっと見ています。


 観察の結果、2羽のカラスがとまっていた木かその周辺の木にカラスの巣があるのではないかと想定してみました。そしてその木と同じ目線にいる人間にカラスは警戒心を持ったのではないかと考えてみました。

観察&仮説② カラスの縄張りは巣から半径20m~100m

 さて、次はカラスの行動範囲です。つがいで巣を作る場合は縄張りがあって、その範囲は20m~100mほどだそうです。それで、私がカラスに襲われた場所を地図で見てみました。

 

 私がカラスに襲われたルートは2通り。自宅から地図上左下に行くルートと同じく右下に行くルートです。地図上で距離を測ってみると、カラスが追ってきた範囲はどちらも巣があると思われる木からだいたい80mほどまでだったのが分かります。一般的なカラスの縄張りの範囲内に入っています。この範囲を出ると、カラスはもう追ってきませんでした。


 以上のことから、あらためてカラスの巣があると思われる木の位置と、カラスが襲ってきた理由が繁殖期による防衛行動だったと仮定します。

 ところでどうやったらこの繁殖期だから襲われるという仮定を証明できるかまでは考えていませんでした…繁殖期が終わる6月か7月くらいになって襲われなくなれば実証?ということになるのでしょうか…その辺はちょっとお茶をにごします…

実験 カラスに襲われない方法を考えよう

 webで「カラスに襲われない方法」と調べたらいろんな対策法が出てきました。体にCDをぶら下げるとかなんとか…

 そんな紹介されていた対策法の中で個人的にもっともいいなと感じたのが、「カラスを刺激しないこと」です。生態上この時期のカラスが敏感になるのは仕方がないわけで、CDの反射でカラスを威嚇したりステッキを振り回してカラスに危険を感じさせたりする方法が適切だとは思えません。もっとおだやかにカラス(野生動物)と共生できる方法があるのであればそちらを選択した方がいいと考えました。

 ということで、家からの外出ルートを変えてみました。ようは敵と認定している私の姿が見えるからカラスも不安になるのでしょう。だったらカラスに見えないようなルートを取ればいいのではないかという単純な発想です。

 上記地図には載っていませんが、地図上で自宅から上に行く道があります。カラスの巣から見て私の自宅マンションを挟んだ裏手になるので、きっとカラスからは見えないと思います。駅やコンビニに行くには遠回りになりますが、さっそく試してみました。

 結果は、襲われませんでした。なるほど、カラスには「におい」やそれ以外の視力以外での探知能力がないんだな、ということも分かりました。

 これでカラスも私も平穏な生活に戻れます。


 今回はカラスの生態がすでに分かっている状態での検証だったので、ネットで調べた時点で襲われた理由や対処法は分かっていましたが、あらためて「観察→仮定→実験」という考え方のおもしろさを勝手に感じれました。子どもたちにもうまくこういった理科のおもしろさを伝えられればと思います。